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「トラさん~僕が猫になったワケ~」を見て

※加筆修正済み

 

 

北山宏光 初主演映画

「トラさん~僕が猫になったワケ~」を鑑賞してきました

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衝撃の猫スーツから約一年

正直ビジュアルの影響で全くストーリー性には期待しておらず、ただ俳優・北山宏光への信頼と少しの惰性で観なければという使命感に駆られてました。

 

 

結果、めっちゃくちゃ泣いた

びっっくりするぐらい泣いた

号泣レベルで嗚咽出しながら泣いた

 

 

とても素敵な映画だったので「アイドル・みっくん」の画としての良さでは無く、ストーリーと北山さんの演技の魅力に重点を置いて感想を書いていきたいなと思います。

 

※一部ネタバレあります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず公式サイトのあらすじから

映画『トラさん~僕が猫になったワケ~』北山宏光初主演作!大ヒット上映中!

売れないマンガ家の高畑寿々男スズオは、妻・奈津子ナツコがパートで稼いだお金をギャンブルに使い、お気楽な生活を送っていたが、ある日突然、交通事故であっけなく死んでしまう。
そんな寿々男のダメ夫っぷりに“あの世の関所”が下した判決は、「執行猶予1ヶ月、過去の愚かな人生を挽回せよ。但し、猫の姿で―」。
トラ猫の姿で奈津子と実優ミユのもとに戻った寿々男は、「トラさん」と名付けられて高畑家で飼われることに。
愛する家族のために何かしたいと思うトラさん=寿々男だが、猫だから言葉さえ通じない。寿々男は、家族に何ができるのか。
どうやって人生を挽回するのか―。

 

 

あらすじにあるようにとんでもなくダメ夫な寿々男

というかクズ。完全にクズ

 

こんなクズでも愛情と優しさは人一倍、かと思いきや猫の漫画を描いてるくせに猫嫌いで邪険に扱うし、自分のダメ父親っぷりのせいで娘がからかわれてても一緒に面白がるような節もある。

過去の栄光にしがみついている癖に、自分が本当に描きたいもので掴んだ栄光じゃないと駄々をこねて、目の前にある仕事さえも放棄する。

 

リアルに居たら一番嫌いなタイプ。

都合よく放つ奈津子と実優への「愛してるにゃ〜!」の言葉にも苛立ち、何で奈津子は寿々男を選んだんだろう?何で実優は嫌いと言いつつ同じ夢を目指してるんだろうと思いながら観ていました。

 

そして生活費をくすねてギャンブルに行った帰り、突然の死

 

猛スピードで寿々男に当たり鈍い音を放つトラック

引きずられたのか飛んでさえいかない身体

流れ出る血

 

あまりのリアルさに空気が変わり手足がスっと冷えて震える感覚がありました。

 

 

そして死後の世界に行った寿々男は今までの行いを挽回するために猫になり現世に戻ることになります。

行いのせいで設けられた期間はたった一ヶ月。

 

猫になって家族の元に戻るも寿々男は能天気で自分本位なままで一向に家族を顧みようとしません。

猫だから出来るグータラ生活を満喫して、どうせ猫だからなんも出来ないでしょと言いながら20日間が過ぎます。

 

ここで「あれ…?想像してたありきたりな恩返しストーリーじゃない」と思いました

 

とんでもないクズが「死」という事実だけで改心し、小さな恩返しを一ヶ月かけて行うかと思いきや全然恩返ししない寿々男

 

自分の死を実感していないような言動で、猫である自分をどこか他人事のよう。そして簡単には変わらない性格も全部が全部人間臭くて「猫スーツを着ただけの人間」というシルエットと「未だに父として夫として家族の中にいる感覚な寿々男」が完全にマッチしていて。

話に入り込みつつどこかでビジュアルの違和感が拭えないままでしたが、ここでこれが正解なのだと思いました。

 

そして奈津子の身に起こっていることや実優の気持ちを知り奔走しだす寿々男

 

最後の日に今まで一切涙も見せず気丈に振舞っていた奈津子の弱音と本音を聞きます。

 

いつでもどんな時でもずっと「愛してる」と言い続けてくれる存在という大きさと尊さを感じました。

自分のことを好きだと思える自分になれるだけで広がる世界があり感じる幸せを増やしてくれる。

いつでも自分本位でありのままの寿々男でいるからこそ嘘偽りない言葉にずっと支えられてきた奈津子の心情を想うと涙が止まりませんでした。

 

 

「死んだ人間が猫として甦る」

これだけ聞くとあまりにも非現実的でフィクションの要素が強い作品です。

しかし、猫という人間ではない姿を通すことで不器用で人間臭い愛情がより浮き彫りになっていて、その綺麗すぎない愛情がリアルさを生み出していました。

 

 

そのリアルさを感じる上で北山さんの演技力はさすがだなぁと。

以前、トラさんの北山さん演技評についてのコラムを読んで納得した一文がありました。

 

もっとも優れた演技とは何か。それは、この俳優は、ほんとうはこんなひとなのではないかと、演じられたキャラクターを通して感じさせることである。 

 

導入でも書いたように、始め寿々男に苛立ちながら観てましたがこの時点で"北山宏光"ではなく完全に"高畑寿々男"として観ていたのだと思います。

なのに、あまりのハマり役っぷりに北山宏光の為にあつらえられたのでは無いかと錯覚するぐらい北山さんっぽいとも感じる不思議さ。

実際には男らしく女性に苦労させるなんて言語道断というタイプであろうにも関わらず。

 

以前某所でも語ったのですが、アイドルでありながらも等身大で人間臭くて色んな顔を持つ北山さんだからこそ、愛情深さだったり自分が元々持つ要素少しずつ強めたり薄めたりするような演じ方が出来てそれが自然体な演技に繋がっているのではないだろうかと思いました。

 

演技もストーリーもこれだけ惹き込まれて最後は幸せな気分になれる映画は久しぶりでした。

 

しかし「生きてくれているだけで奇跡だと思った」と語るほど家族への愛に満ちた寿々男と序盤の言動が繋がっているようで繋がっていない違和感。

簡単に分かった気にさせてくれないけど何故か最後には好きだと思わせられる寿々男の魅力。

 

家族愛に満ちた作品だけなら一度で満足だけど、この違和感の謎解きをしたくなるからもう一度見たいと思ってしまうのかもしれません。

 

初主演映画でこれだけ素敵な作品だったので今後も北山さんの演技が観られる場が増えたらいいな〜!!!